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2017年8月2日 第21回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会
○日時
平成29年8月2日(水)15:00~16:30
○場所
航空会館 大ホール(7階)
○議事
(第50回 難病対策委員会・第21回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会【合同開催】)
○徳本課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第50回「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と、第21回「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の合同委員会を開催します。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
委員会開催に際し、事務局の変更がございましたので御報告申し上げます。
健康局長の福田でございます。
○福田健康局長 福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○徳本課長補佐 続きまして、難病対策課長の川野でございます。
◯川野難病対策課長 川野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○徳本課長補佐 出欠状況を確認いたします。
本日の委員の出欠状況でございますが、羽鳥委員、本田麻由美委員、笹井委員から欠席の御連絡をいただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○徳本課長補佐 なお、福田健康局長におきましては、公務のため退席させていただきます。
(福田健康局長退室)
○徳本課長補佐 それでは、以降の議事進行につきましては、前回の合同委員会と同様に千葉委員長にお願いいたします。
○千葉委員長 まず、資料の確認をお願いします。
○徳本課長補佐 資料の確認をいたします。
資料1 前回の合同委員会における主な意見
資料2 福岡市立こども病院循環器センターにおける成人期移行の現状
資料3-1 移行期医療支援体制の構築に係るガイドについて
資料3-2 都道府県における移行期医療支援体制の構築に係るガイド(骨子案)
参考資料1 小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」(日本小児科学
会)
資料の欠落がございましたら、事務局まで御一報ください。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。
それでは、今回は前回に引き続き第2回目の合同委員会で、移行期医療の支援体制構築に係るガイドについてということで、委員会の先生方に御議論をいただきたいと考えています。
まず、前回の合同委員会における主な意見について、事務局から御説明をお願いします。
○徳本課長補佐 資料1に基づきまして、前回いただきました合同委員会における主な意見を御説明申し上げます。
前回いただきました御意見といたしまして「1 移行期医療支援の必要性」「2 患者自律(自立)支援」「3 移行期医療支援体制の整備」としてまとめさせていただきました。
まず「1 移行期医療支援の必要性」につきまして、1つ目のポツでございます。移行は必ずしも強制ではないという視点と、成人診療科の協力があったほうがより適切な医療が提供できるとの御意見をいただきました。
2つ目でございますが、対応が一人一人異なることに配慮することが必要で、移行を進めていくことが必要という御意見を賜りました。
3つ目でございますけれども、移行のしやすさは疾患によって異なるため、各疾患別のガイドが必要ではないかとの御意見をいただきました。
続きまして「2 患者自律(自立)支援」につきまして、1つ目でございますけれども、本人だけではなく患者の理解を深めるための支援が必要ではないか。
2つ目でございますが、ピアサポートが有効ではないか。
3つ目でございますが、自立支援事業を活用すべきではないかとの御意見を賜りました。
「3 移行期医療支援体制の整備」につきまして、1つ目は、成人期の医療機能の情報の収集と提供が重要ではないか。
2つ目でございますが、小児診療科と成人診療科の連携を支援するための仕組みが必要ではないか。
3つ目でございますが、福祉、生活の面の移行についても支援が必要ではないか。
4つ目でございますが、在宅医療等について、関係者が集まって協議をする場が必要ではないか。
最後でございますが、各地域の実情に応じて柔軟に対応できる支援体制を構築するのが望ましいのではないかといった御意見を賜りました。
以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
これは前回のディスカッションのまとめ、確認ということですので、これについてのディスカッションはまた後にしていただきまして、間違っていることがございましたらいただきたいと思いますが、よろしいですね。
それでは、次に移らせていただきまして、資料2につきまして、福岡市立こども病院循環器センターの兒玉参考人より御説明をお願いしたいと思います。
○兒玉参考人 よろしくお願いします。
きょうはこのような機会をいただきまして、まことにありがとうございました。
当院の循環器センターにおける成人期移行について紹介をさせていただきたいと思います。
1ページ目をごらんいただきたいと思います。福岡市立こども病院循環器科の「移行」の特徴ということで、いろいろなほかの病院の移行の現状をお聞きすることもあるのですけれども、我々の病院の特徴かと思うことを2つ挙げさせていただきました。
1つ目は成人期に達した患者のほぼ全例を、成人診療科に転院・転科させてきたということです。行き場のない小児慢性特定疾患児が多いと言われている中で、我々の施設ではほぼ全ての症例の転院・転科を行えているということがあります。
2つ目に「移行期支援外来」をつくっておりまして、成人し、転院/転科する前に患者教育活動を行っております。
単なる「転院・転科」にとどまらない「移行(transition)」を目指した診療科変更プロセスを目指して、診療活動をしているというところです。
2ページ目に当院の現状をお示ししておきますと、福岡市立こども病院は九州地区で小児循環器診療をかなり大きくやっている施設でありまして、心臓外科手術件数を赤文字で示しておりますが、この年は年間508例やっております。
既に開設から30年近くたっておりますので、かなりの数の成人先天性心疾患患者さんが出てきているわけですけれども、そういった患者をかなり移行できているということを3ページ目にお示ししておりますが、上のグラフは手術数です。これだけの数の手術をやっておりますので、相当な成人患者が出てきているわけですけれども、外来患者数、入院患者数をごらんいただきたいのです。20歳以上の患者さんは数パーセント、外来に関しても入院に関しても2%前後ということで、20歳以上になるような患者さんはほぼ全て循環器内科、成人の循環器施設に移行できているという現状があります。
4ページ目に移りますが、当院での成人先天性心疾患(ACHD)を成人科に移行するという取り組みを、当院でこのように進めてきましたということをお示ししたものになります。
2005年に九州大学病院の循環器内科に、成人先天性心疾患の受け入れをお願いしますということを打診したことが始まりになります。
ここからいろいろなことがスタートしまして、2009年に九州大学病院の循環器内科に専門の成人先天性心疾患外来を開設していただきました。
ただ、全例をこちらに送ってしまうとかなり数が多くなってしまうということもございますし、先天性心疾患の特徴として、重症度にかなり幅があるということがございます。軽症の症例であれば九州大学病院の専門外来ではなく、市中病院の一般循環器内科の先生の協力を仰いで、そちらにお願いしたりということもしております。
ただし、重症症例になるとやはり専門性が必要になってきますので、重症症例に関しては九州大学につくっていただいた専門外来にお願いするという形で、現在に至るまでやってきております。
さらに2014年に当院が移転しました。それに伴って、成人に達したような患者さんの多くを転院することを加速させたという経緯がありまして、少なくとも転科といいますか、診療科の移動というプロセスに関しては、ここまでのところで我々の施設はある程度でき上がったと考えているところでございます。
2015年に成育医療センターにお誘いをいただきまして、小児慢性特定疾病児童成人移行期資料支援モデル事業に参加させていただきました。
ここで改めて移行というのが、単なる転科ということにはとどまらず、患者教育を含めたプロセスであるという認識を新たにしまして、転科のほうはある程度もう形ができ上がっておりましたので、患者教育を主としたモデルづくりを進めて「たけのこ外来」という名前の、主に看護師さんをメーンとした外来での教育プロセスをつくりました。そういったことに関しては、また後ほど御説明したいと思います。
2017年、今年ですけれども、日本循環器学会といいます。これは小児科、成人科含めて、循環器診療に携わるようなドクターが集まった学会になりますけれども、それが九州地区で年に2回開催されています。こちらで「ACHD診療連絡協議会」といいます先天性心臓病に関する協議会を結成しまして、九州各県の成人科の代表としては、各県の大学病院の責任者に当たる、主には教授というポジションにある先生方に参加していただいて、さらに小児循環器を各県でメーンで診ておられるような先生方にお集まりいただいて、うまく移行のプロセスが踏めるような形づくりを進めてきたということがございます。
5ページで九州大学病院と福岡市立こども病院の関係ですけれども、まず、非常に場所が近いということがございまして、これは移転する前の旧こども病院ですけれども、そこから車で15分ぐらい。地下鉄でも15分ぐらい。
今、こども病院はさらに九州大学病院の近いところに移転しておりますので、比較的場所が近かったというのも、患者さんには受け入れられやすかったといった状況があるかもしれません。
6ページ目になりますけれども、当初はこういったポスターの掲示をしたりしておりました。つまり九州大学病院の成人科に移ったときにはこういった先生方が診てくださいますといった、目に見える、顔の見えるポスター掲示をしたということで、患者さんに安心して移っていただくという努力もしておりました。
7ページ目ですけれども、これは九州大学病院の小児科のほうになります。小児科でもやはり移行期に関する取り組みをしていただいていまして、この取り組みを我々の施設が利用することはあまりないのですけれども、主には九州大学病院の小児科の患者さんを移行するためにトランジショナルケア外来という外来をつくって、移行先を探してあげますとか、患者教育をしてあげますといった取り組みを九大病院内部でしていただいていたというのも、移行期医療がスムーズに進む土台になったのかと思っています。
現在、我々の施設ではほぼ転科のプロセスに関してはでき上がっていると考えておりまして、我々の移行期に関する活動のフォーカスは、主に患者教育に置いております。
8ページ目に、患者教育としてたけのこ外来をつくっておりますということですけれども、たけのこ外来をやっていますという掲示をしてみたり、九大病院にはこういう外来がありますという掲示を待合室でやったりしています。
9ページ目に、我々の移行期支援プログラムです。モデル事業に参加させていただいてからつくったような取り組みではございますが、原則2回以上移行期支援介入を行うということを目標にしてやっております。
準備段階として12歳~15歳ぐらい。この段階である程度病名だとか病状を説明して、成人医療への移行に当たり、患者本人に自立の必要性を認識させるといったことを主治医からある程度、土台ならしということでしております。
看護師さんがメーンになって入る教育セッションを少なくとも2回。余り回数が多過ぎてもお互いうんざりしますでしょうし、一応2回という取り決めでやっております。
転科する前に1回。転科する最終受診日に看護師さんがもう一回教育セッションをして、医師による卒業証書授与ということもやっております。
これは今の段階では15歳~18歳ぐらいの患者さんを対象にやっているのですけれども、もう少し前倒しで、いろいろなことをやっていっても可能なのかということも考えていたりします。
10ページ目ですけれども、教育ツールとしてこういったものを使用していますということの御紹介です。『大人になりゆくあなたに』と『社会にはばたくときに』ということで、西南女学院大学の谷川先生とおっしゃる福祉系のバックグラウンドの先生と聞いておりますけれども、この先生が慢性疾患の小児を対象にしたパンフレットを2部つくってくださって、インターネットでダウンロードできるような形になっています。
我々はこれを一つの配布資料として製本して、冊子にして配ったりということをしております。
11ページ目になりますけれども、最近、移行支援啓発ビデオというのをつくらせていただいて、ドラマ仕立てになっておりまして、中高生向けに比較的見やすくて、ある程度自分を投影しやすいような動画を作成して見せたりしています。患者さんも動画だとすっと入ってくるのだと思いますが、かなり興味を持って見てくださっています。
実際の教育セッションの風景というのは12ページ目になりますが、主に看護師さんメーンで介入していただいています。重症度の高いような患者さんに関しては、(A)や(B)のようにしっかりと時間をとって、診察室の一角で看護外来という形でやっていただいたりしますし、比較的重症度の軽いような患者さんには、待合室で(C)のような形でしていたりということもあります。
13ページですけれども、ほかにはこういったツールを使っていますという紹介ですが、定期受診についてということであったり、食事について、食生活には注意してくださいということであったり、女のお子さんであったら妊娠と出産についてということも、看護師さんでないとなかなかお話ししづらいところもありますが、こういった内容で説明をしています。
14ページですけれども、「たけのこ外来」という形で掲示をしたり、最後に卒業証書を手渡ししています。
15ページになりますが、たけのこ外来の対応患者数ということで表示させてもらっていますが、主治医からの依頼に基づいて、主治医がそろそろ移行だよというタイミングで、やはり長期休暇がかなり多くなってきます。夏休みや何かに受診される中高生が多いので夏休みが多いのですけれども、こういう形で移行支援プログラムを実施しているということです。
16ページ目に「移行困難が予想された症例の経緯」ということで、我々の施設は移行といいますか、診療科の移動に関しては内科、成人科の先生方の協力が非常にスムーズにやられていますので、あまりこれに関して困難を感じることが少ないという現状にはなっています。昔のでき上がる前というのはかなり困難な症例もあったようなのですけれども、今のかなり協力が得られた状況では困難が少ない状況にはなっていますが、最近の症例でこういったことがありましたという紹介です。
長くなりますので抜粋しながら御説明しますが、先天性心疾患に染色体異常があって、精神運動発達遅滞が顕著にあった患者さんです。
この患者さんが中学生になったのを契機に、成人科に移行しましょうという話になったのですけれども、一つは家族が大変不安そうであったということがございました。これに関しては、将来の医療環境を考えると、成人になったときに、やはり小児病院で診ておくというのはかなり不利な点が多いという説明をしまして御納得いただいたということ。
もう一つは複数科にわたって受診されておりました。心臓だけではなくて神経科であるとか、内分泌であるとか、そういった複数の科で診療していたので、なかなかスムーズに、1つの科だけの受け渡しというわけにはいかなくて、このあたりに関しては、カウンターパートになる循環器内科の先生が転科後に窓口になって、ほかの診療科に転院・転科をしてもらったということで、家族の不安と、もう一つは他科にわたったというところが困難な状況だったかと考えています。
17ページになりますが、特に複数科の診療ということに関してそういった困難さがあるわけですけれども、一つ、もしかしたら利用できるかもしれないと考えていて、まだ現実的にはあまり利用できていないのですけれども、難病相談支援センター相談員という方々に今、月に2回こども病院に来てもらっています。基本的には九大病院の中に常駐していらっしゃる方なのですけれども、月に2回こども病院に来ていただいて、いろいろな相談内容に関して相談に乗っていただけるということで、就労に関すること、社会的サポートに関すること、いろいろ相談に乗ってもらえるみたいなのですけれども、移行に関することも相談に乗ってもらえると聞いています。
循環器に関しては移行が比較的スムーズなので、大きな問題はないのですけれども、問題があるようなほかの科であるとか、問題を抱えている地域によっては協力が仰げる部署なのかと考えています。
18ページ目ですけれども、九大病院の中の難病相談支援センターのこういったチラシといいますか、広報がありますということです。
19ページ目ですけれども、九州地区での循環器の患者さんの診療体制です。福岡市立こども病院は九州各県、山口からも患者さんがたくさん集まるという形になっていまして、どうしても我々だけでは完全には網羅できませんので、地元の小児循環器の先生たちの協力を仰いでいる診療体制になっております。
成人期に当たっても、我々の基幹病院としての役割は九大病院に移行できたとしても、地元の役割は地元の役割でやはり移行してもらわないといけないということがありまして、地元の九州各県の循環器の先生方の協力を得る必要があるだろうということで、20ページに示した「広域のACHD診療体制強化の試み」ということで、日本循環器学会九州地方会の場でACHD診療連絡協議会を設立して、多くの先生方にお集まりいただいて、スムーズな移行体制をつくりましょうという共通認識を持っていただくような取り組みもしております。
21ページ目になりますが「結語」です。
1番目は、大前提として、小児慢性疾病は移行を前提とした医療であるという認識を、少なくとも我々の施設では、将来的に移行が必要になるのだという説明をしながら診療しておりまして、御家族もスムーズに移行を受け入れてくださっているという現状がございます。
2番目としては、日常の成人診療科との交流から移行医療の必要性が共有できており、スムーズな患者の移行が可能となったということがございまして、かなり成人科の先生方の協力があっての移行かと認識しております。
3番目としては、現実の移行医療による最大の障壁が、移行先医療機関の確保の困難さにあることから、先行する福岡・鹿児島を軸に九州沖縄のACHD診療体制整備促進を目的に、日本循環器学会九州地方会を基盤にACHD診療連絡協議会を設立しましたということを御報告しました。
4番目としては、小児科側の移行期医療の課題は患者教育ということで、今、我々の施設では、こういう多職種による患者教育を推進しております。
5番目ですが、受け入れ側の診療体制整備は必須です。新たな医療機関に患者が受診する際の閾値を下げるためにも、受け入れ先の地域連携室の機能強化であるとか、多診療科受診に伴うこういったことの問題点に関して、もし移行支援事業、行政のサポートなどもあると活用できるのかと感じたりしております。
以上です。ありがとうございました。
○千葉委員長 ありがとうございました。
移行期医療につきまして、モデルというよりはまさに実践されておられるということで、私自身としても非常に参考になったわけでありますが、この後、国全体としてどうするかという議論になるわけですけれども、一つのモデルとして御提示いただきました。
これにつきまして、いろいろ御質問等々おありだと思うのですけれども、いかがでしょうか。何でも結構です。
井田委員、どうぞ。
○井田委員 慈恵医大小児科の井田と申します。大変参考になる御説明をありがとうございました。
このケースは小児病院と大学病院の連携だと思うのですけれども、九大の中に小児科がありますね。そこの大学の中では移行期医療をどうされているのか。それが一つの質問です。
○兒玉参考人 私も深くかかわっているわけではないので、聞いた話になりますけれども、やはり診療科といいますか、専門分野ごとにかなり温度差があるということは聞いております。
循環器領域に関してはこういった形で、成人科の先生方の協力が非常に強く得られていますので、比較的スムーズに進む。ただ、神経科であるとか、免疫不全症のようなレアなケースだとかというのは、どうしてもなかなか進まない。
トランジショナルケア外来というものをつくられているようなのですけれども、なかなか難しいと聞いております。
○井田委員 小児病院と大学病院の連携は多分できると思うのですけれども、大学病院内の連携は、科によってはなかなか難しいと思います。
移行期医療センターを設立し、そこで移行期医療を扱うのはとてもよいシステムだと思います。ただし、ナースや事務員の方を配属しなければなりませんので私立大学ですとサラリーや所属先を考えるとハードルが高いと感じました。
以上です。
○兒玉参考人 ありがとうございます。
やはり看護師さんをプラス1名置くというのはなかなか難しい状況で、我々もかなり看護師さんに負担を強いている状況があります。おっしゃるとおりだと思います。
難病相談支援員という方は自治体、行政から派遣されていると聞いております。なので、我々の病院だとか、九大病院が直接それを負担しているわけではないと聞いております。
○井田委員 わかりました。ありがとうございました。
○千葉委員長 ほかはいかがでしょうか。
本間委員、どうぞ。
○本間委員 あせび会の本間と申します。きょうは貴重なお話をありがとうございました。
こども病院の場合、循環器系の病気なのですけれども、それ以外の、例えば神経系統とかいった難病の子供の扱い、そのトランジショナルな扱いというのは、そちらでは何かやっていらっしゃるのでしょうか。
○兒玉参考人 ありがとうございます。
このモデル事業に参加させていただいたのが、循環器科ということで指定して参加させていただいたということがあって、この取り組みを今のところ、まず循環器科からスタートしたというところです。
ただ、かなりこういったことを大々的にやっておりますので、いろいろなほかの科の先生方も興味を示しておられて、広げていけたらと考えているところでありますが、まだ進めてはおりません。
○千葉委員長 及川委員、どうぞ。
○及川委員 東京家政大学の及川と申します。ありがとうございました。
私は看護師のほうなので、その辺の質問なのですけれども、一つはかなり負担だということだったのですが、外来をするに当たって特別な研修を受けてスタートしたかということが一点と、個別指導がメーンのようですけれども、やはりこの年齢ですとピアサポートというのがすごく大事で、集団でおやりになる機会とか、そういうことは考えていらっしゃるのかどうかということを教えてください。
○兒玉参考人 1つ目の看護師さんの研修という形でいうと、やはりある程度ベテランの看護師さんで、外来の看護師さんなのですけれども、循環器で病棟でもかなり深く経験してこられていたというベテランの看護師さんに主に集まっていだたいて、こういったプログラムをつくり始めたということがあります。
なので、改まった研修という形ではしてはいないのですけれども、かなりスキルの高い看護師さんがこういったことにかかわってくださっているという現状があります。
2つ目のピアサポートということに関しては、まだできていないのが我々の施設の現状なのですけれども、そういった御指摘はよくいただきまして、患者さんからもそういった話はいただきますので、前向きに考えていきたいと思っているところです。
○千葉委員長 小林委員、お願いします。
○小林委員 難病のこども支援全国ネットワークの小林と申します。貴重なお話を伺わせていただいてありがとうございます。
こういう理想的な形で進んでいるのを拝見していると、すごいなと思うのですけれども、2点ほど質問させていただきたいのです。
患者教育というところで、特に私は保護者の教育がとても必要だと思っているのですけれども、ここの移行期支援プログラムの中には本人に対する教育があるのです。保護者に対する教育というのはこの中に入っているのかどうかが1点目でございます。
2点目は、これまで随分多数の移行が無事に行われていて、すごいなと思いながら伺っていましたけれども、このうち、移行が一時期はうまくいったのだけれども、後でうまくいかなくて何かトラブルがあったとか、そういったケースはなかったのでしょうか。
○兒玉参考人 ありがとうございます。
1つ目の御両親に対する教育ということで言うと、一番大事になってくるかと思うのは、やはり過保護になりがちというところがございます。
例えば本人に何かを聞いたとしても、いつまでたってもお母さんがかわりに答えてしまうといった現状はよくあります。そういった状況ではだめなのですといったお話は常々していると思います。
とりたてて御両親向けに何か教育プログラムをつくっているというわけではないのですけれども、例えば看護外来、たけのこ外来ですけれども、これはお子さんだけに入ってもらっているのです。あえてお父さんお母さんは入らないでくださいと、できるだけといいますか、基本的にはもうお子さんだけです。どうしてもお母さんも聞きたかったら、後でまた別に聞いてくださいといった形でさせていただいていて、それが御両親に対する一つの教育という言い方でいいのかわかりませんが、そういった形にはなっているかと思います。
2つ目の、何か問題があったかということで言うと、現実的に戻ってきたという患者さんはほとんどといいますか、まずおりません。ただ、紹介先に関して、この子は大丈夫だろうと思って地方の病院に送ったのですけれども、その後に、どうもこれは診切れなかった、あるいは気づいていなかった問題が発生したということで、改めて九大病院のほうに送り直したとか、そういった経緯があったような患者さんはおります。
○小林委員 そういう際は、何かトラブルの原因とかそういうのをまた話し合うなり何なりして確かめて、また再度行ってもらうといいですね。
○兒玉参考人 そうですね。もう一回紹介状を改めてつくり直して、こういった患者さんなのですけれどもということで、九大と地元の双方と連絡をとり合いながら、九大を受診なさってくださいといった案内をさせていただきました。
○小林委員 一つ一つ丁寧にやっていただいているということですね。
どうもありがとうございました。
○千葉委員長 こちらで手を挙げていた方。
岡委員、どうぞ。
○岡委員 東京大学の小児科の岡ですけれども、どうもありがとうございました。
今の小林委員からの質問とも関連するのですけれども、移行された後の御家族、あるいは特に御本人の御意見みたいなことは、何か調査されていますでしょうか。
○兒玉参考人 非常に興味深く思っているところで、移行した後に、例えば我々の教育プログラムがどれだけ有効であったかとか、そういったことに関しても検証したいとは思っているのですけれども、現状ではまだできていないというところです。
○千葉委員長 大澤委員、どうぞ。
○大澤委員 大澤と申しますけれども、大変すばらしいプログラムの御紹介をありがとうございました。
先ほどの移行期外来の、看護師さんの教育の件で、御両親は入らない、患者さんだけということだったのですけれども、先天性心疾患の患者さんは染色体異常の方ですとか、オペ前後の多少のトラブルがあってボーダーラインの知的障害の方とかが結構多くいらっしゃるのではないかと思うのですけれども、そういう知的障害を合併していらっしゃる方も看護師さんだけで、御両親には何もお伝えにならないのでしょうか。そういう方はむしろ、御両親も入られたほうがいいような気がするのですけれども。
○兒玉参考人 重症度によるかと思います。そこは一つ問題かとは思っていますが、かなり重症度が高くて、説明をなかなか理解できないかもしれないと思われる患者さんは、今のところ十分に対象にできていないというところがあります。
ただ、支援学校に通っているからうちの子は無理ですと御両親がおっしゃる患者さんでも、看護師さんが、この子は大丈夫なのではないかと言って1人でお話をすると、結構興味深く聞いてくれたり、質問が出てきたりということはあると聞いております。
○千葉委員長 ほか、いかがですか。
○坂上委員 いいですか。
○千葉委員長 できたら簡潔にお願いしたいと思います。
○坂上委員 読売新聞の坂上です。とてもすばらしい取り組みを紹介していただき、ありがとうございました。
今、難病相談支援センターと連携をとり始めたところだとお聞きしました。難病相談支援センターの相談支援員や、小児慢性特定疾病自立支援事業の自立支援員など、難病患者や家族の相談に乗ってくれる人たちがいらっしゃるのですけれども、実際のところ、現場では余り連携しているような印象がないように感じます。既存の制度・体制があるのに、なぜ連携しないのだろうか、という疑問があります。
難病相談支援センターは都道府県によって活動度が異なっており、難しいのかもしれないのですけれども、せっかく、既存の支援員の方々がいらっしゃるのに連携していないのは、もったいないな、という感想を持ちました。
ありがとうございます。
○千葉委員長 今のと関連して、後のディスカッションとも結びつくわけですけれども、福岡県は難病支援センターが九州大学内にあるわけですね。
○兒玉参考人 そうです。九州大学に。
○千葉委員長 既に循環器は、先生のところの病院とはコミュニケーションをつけてやっておられるようですが、そこの難病支援センターが、ほかの難病についても同じような活動をされておられるのかどうかといったあたりはどうでしょうか。
○兒玉参考人 済みません。情報を持ち合わせていないのですけれども、我々循環器科に関して言えば、比較的スムーズにといいますか、我々医師が前面に立って移行を進めてきてしまったという面があって、比較的医師がそれぞれ、それなりに苦労しながら関係をつくっていたということがあって、余り難病支援センターの方々の協力を必要とする場面がなかったというのが現状です。
ただ、それが十分にできていない地域だとか施設もあるとは聞いておりますので、そういったところでは何かしら御協力を得られるのかと思ったりはします。
○千葉委員長 もう一つ、特に循環器疾患で言いますと、九州大学の中にある難病支援センターの方が、九州大学と先生のところの病院の間を取り持っているのがメジャーでやっていらっしゃるのか。
それとも、ほかの病院とのコミュニケーションにも関与していらっしゃるのかというあたりは、何か御存じですか。
○兒玉参考人 循環器疾患に関して言いますと、我々が一生懸命手配してまいったということがありますので、余り難病支援センターの方にその辺の手配をお願いすることはないというところです。
○千葉委員長 森委員、どうぞ。
○森委員 患者団体の森と申します。本日はありがとうございました。
私も難病相談支援センターの運営にかかわっておりまして、相談の中でどこの病院にかかればいいですかというのが、お子さんから大人の方々まで一番多いわけなのです。なので、このような移行期支援をしっかりとやっておられるケースというのが、本当にすばらしいと思います。また、この難病相談支援センターの中の非常に限られた勤務の中から、月2回、こども病院の中にこのように相談窓口を派遣して開設しておられるというのが非常にうまく、どのように工夫をして、その中でやっておられるのかということに非常に興味を持ちました。
難病相談支援センターはいろいろな形式があるかと思いますけれども、例えば和歌山県では難病・子ども保健相談支援センターとして、一緒に運営されておりますので、特にそういうところではしっかりとサポートができるかと思いますし、また、私どもの難病相談支援センターの中には、患者会もしっかりと相談員として関わっておりまして、ピアサポートという面ではサポーターがしっかりとカバーできるかと思います。
その中で、成人の患者会であっても、小児発症の患者さんがサポーターとしておられますので、その辺のところをうまく活用していって、私たちもまた、このような移行支援というもので一緒になって、支援に取り組めるといいなと思いました。
本日はありがとうございます。
○千葉委員長 まだいろいろ御意見もあると思いますが、最後に簡潔に。
今までやってこられて、つくり上げてきた過程で、一番苦労された点というか問題点。
それから、個々の患者さんの問題点ではなくて、現在やっておられる、運用していく上において一番問題といいますか悩んでおられるというか、そういうあたりをおっしゃっていただくとどうでしょうか。
○兒玉参考人 ありがとうございます。
一番肝になるのは、やはり成人科がどれだけ受け入れに協力をいただけるかというところだろうと思います。
循環器領域に関しましては、疾患がといいますか、臓器がといいますか、みんながみんなではないですけれども、比較的成人科の先生たちも興味を持ってくれる分野であったということが、もしかしたら一つあるかもしれませんし、距離的な近さもあるかもしれませんし、人間関係みたいなものもあるかもしれませんが、そういったことで受け入れてくださったということが一番、我々の移行期が今のところ順調に行っているということの背景にあるのかと感じています。
○千葉委員長 ありがとうございます。
いろいろ、まだまだお聞きしたいことはあろうかと思いますけれども、時間ですので、先生に対する御質問はこれぐらいまでとさせていただきたいと思います。
やはり循環器というところで、ある意味やりやすいと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、非常にモデルとして行きやすいところから始められたということで、これをいかにほかの疾患にもdisperseできるのかというポイントと、それから、場所でしょうね。福岡県における大学病院と一般病院とのかかわりというところと、他府県との事情も少し違うかもしれませんが、そこら辺も今後考慮に入れる必要があるかもしれません。
しかしながら、非常に参考になる御意見といいますか、例を示していただきまして大変ありがとうございました。
続いて資料3-1、3-2についてです。これは実際の案につきまして、事務局より説明をお願いしたいと思います。
○遠藤課長補佐 資料3-1の説明をさせていただきます。
1ページをごらんください。
移行期医療支援体制の構築に係るガイドについては、前回の参考人の御発表及び委員の皆様の御議論を事務局のほうで整理いたしますと、3つ作成することになるのではないかと考えております。
1つ目は、都道府県宛てに周知する「移行期医療支援体制構築のガイド」として、各関係機関の役割や必要な体制整備の内容を記載したものです。4月に先に発出しております「都道府県における難病の医療提供体制の構築についての手引き」を補完するものとなりますので、今年中をめどに、なるべく早く都道府県に周知したいと考えております。
2つ目になりますが、全ての移行期の患者さんに必要な「自律(自立)支援のガイド(コアガイド)」。
3つ目は、個々の疾患の特性を踏まえた「疾患別ガイド」となり、この2つ目と3つ目は主に医療従事者向けのガイドになるのではないかと思います。
2つ目と3つ目のガイドについては、今年度末をめどにホームページ等で公表できるよう、研究班や関連学会の協力のもとで現在作成を進めております。
2ページ目に、都道府県向けのガイドに記載する「都道府県における移行期医療支援体制のイメージ(案)」を提示させていただきました。
前回の御議論の中で、各地域、各領域における成人期の医療機能情報の収集と提供が重要ではないかといった御意見や、小児診療科と成人診療科の連携を支援するための仕組みが必要ではないか、各地域の実情に応じて、柔軟に対応できる体制を構築するのが望ましいのではないかといった御意見をいただいておりました。
これらの御意見を事務局で整理させていただき、小児期の医療機関と成人期の医療機関の間をつなぐ移行期医療支援の拠点的役割を担う機関として、便宜上「移行期医療支援センター(仮称)」とさせていただきましたが、これを案として提示させていただきました。
このようなセンターを各都道府県で1つ設置していただき、右上に示しますような医療機関の情報の把握や、小児期、成人期の医療機関の連携の支援、また、自律(自立)支援を円滑に進めるための必要な支援などの役割を担っていただいてはどうかと考えております。
小児期の医療機関、成人期の医療機関につきましては、下に記載しておりますが、移行期医療支援が必要な患者さんはどの医療機関でも存在するかと思いますので、その要件について多くを求めない内容としております。
3ページ~5ページ目は、2つ目の自律(自立)支援のガイド、3つ目の疾患別ガイドの進捗状況となります。
コアガイドは現在、研究班の先生方を中心に作成していただいておりますので、4ページに提示させていただきましたものは、米国で既に作成されておりますコアガイドの構成を参考に提示させていただいております。今後、日本版のものも、日本の実情に即したコアガイドとして作成いただく予定です。
5ページ目にお進みいただきまして、疾患別ガイドとして既に作成されております小児外科領域の疾患、腎領域の疾患の疾患別ガイドの例を提示させていただきました。今後ほかの疾患群についても、学会等の協力を得て作成を進めていきたいと考えております。
最後の6ページ目になりますが、ガイドと全体の体制構築のイメージになります。
移行期医療支援における課題は、大きく分けて「医療体制整備」と「自律的な患者を育てる自律(自立)支援」の2つでありましたが、医療体制整備については今回都道府県向けガイドで体制構築について通知し、自律(自立)支援については下のほうになりますが、主に医療従事者向けになるコアガイド、疾患別ガイド等で体制構築を図っていきたいと考えております。
続きまして、資料3-2の説明をさせていただきます。本日は都道府県の体制構築に資するガイドについて、具体的に委員の皆様から御意見をいただきたいと思っておりますので、少し簡単に読み上げさせていただきます。
「都道府県における移行期医療支援体制の構築に係るガイド」(骨子案)
第1 移行期医療の現状と課題
1 移行期医療の現状
・近年、小児慢性疾患の患者全体の死亡率は減少し、多くの患者の命が救われるようにな
ってきた。
・一方で、原疾患に対する治療や合併症への対応が長期化し、思春期、さらには成人期を迎
える患者が多くなってきている。
・こうした小児期から成人への移行期にある患者に対して、現状においては、小児期医
療、成人期医療いずれも、必ずしも適切な医療を提供できていない。
2 移行期医療における課題
移行期医療における課題は、大きく分けて医療体制と患者自律(自立)支援の2つの側面がある。
(1)医療体制の課題
○ 小児診療科と成人診療科の連携が十分になされていない。
○ 小児診療科の医師のみによる成人期医療の提供は、診療内容が不十分になる可能性がある。
○ 成人診療科の医師が小児慢性疾患の患者の診療に必要な知識や臨床経験を積む機会が限られている。
○ 遺伝性を有する小児慢性疾患の患者の妊娠・出産に関して、医療従事者の経験・知識が限られている。
(2)患者自律(自立)支援の課題
○ 小児慢性疾患の患者は、医師や親への依存度が高い傾向にある。
○ 小児診療科から転科してきた小児慢性疾患の患者とその保護者は、成人期医療に総合診療科的な役割を求める傾向にある。
第2 移行期医療支援の基本的考え方と目指すべき方向性
1 課題解決に向けた基本的考え方
移行期医療の類型については、日本小児科学会による「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」においては、以下の場合に分けられている。
2ページにありますが、3つの場合に分けられていることが記載されております。
この部分は、本日参考資料1とさせていただきました小児科学会からの提言の、最後の18ページの図表を御参考いただければと思います。
(1)小児診療科の医師から成人診療科の医師に段階的に引き継ぎ、転科することが可能な場合。
(2)小児診療科の医師が先天性の疾患や障害については診療を継続しつつ、他の健康問題や成人期の疾患については成人診療科の医師に引き継ぐことができる併診可能な場合。
(3)小児診療科の医師が成人期も引き続き診療する場合。
また、医療体制を整備するだけでなく、成人期医療への移行に向けた患者・家族の自律(自立)支援のための教育が必要である。
医療体制整備と患者自律(自立)支援の双方が有機的に機能することにより、はじめて移行期医療が促進され、小児慢性疾患の患者の成人期医療への適切な移行が可能となる。
こういったことを記載しております。
2 目指すべき方向性
(1)医療体制整備
○ 診療科・医療機関間の調整等を行うなど、移行期医療支援の拠点的役割を担う機関を整備する。
○ 移行期医療支援に関する医療従事者向けガイドを作成し、成人診療科医師が活用できるよう提供する。
(2)患者自律(自立)支援
○ 小児慢性疾患の患者及び家族に対する相談支援体制を充実させる。
○ 成人期医療について、患者、家族の理解を深めていく。
こういったことを記載しております。
「第3 移行期医療支援体制の構築」に移ります。ここの部分は、先ほどの資料3-1の2ページのポンチ絵のイメージを文章にしていったものになります。
移行期医療支援体制を構築するために以下の1から3の機能を整備することが必要。
1 各関係機関の調整や患者自律(自立)支援など、移行期医療を総合的に支援する機能(移行期医療支援センター(仮称))
(1)役割
・ 成人期の小児慢性疾患の患者に対応可能な医療機関の情報を把握・公表
・ 小児期の医療機関と成人期の診療科・医療機関の連絡調整・連携支援
・ 患者自律(自立)支援を円滑に進めるための必要な支援
具体的な取組内容は(2)に記載しているような事項になります。
2 移行期医療につなげる機能(小児期の医療機関)
(1)役割
・ 移行期医療支援につなげる
・ 必要に応じて、成人後も患者を診療
具体的な取組内容は(2)以降に記載されております。
3 移行期医療を提供する機能(成人期の医療機関)
(1)役割
・ 必要に応じて、小児慢性疾患の患者に対する成人期診療の提供
具体的な取組内容は(2)以降に記載しております。
繰り返しになりますが、小児期の医療機関、成人期の医療機関については、患者さんがどの医療機関でも存在するかと思いますので、その要件については多くを求めない内容としております。
最後に第4として、留意事項を記載していこうと思っております。
骨子案の説明は以上になります。
この骨子案について、委員の皆様から本日御意見をいただければと存じます。
事務局からの説明は以上になります。ありがとうございました。
○千葉委員長 ありがとうございます。
資料3-1は移行期医療支援体制の構築に係るガイドについてということで、1ページにありますように、まずは患者さん、各関係の事務といいますか、そういったところに向けてのガイド。
自律(自立)支援のガイド、コアガイド、疾患別ガイドにつきましては医師向けというところで、1つ目の骨子案を資料3-2で御紹介いただいたということです。
コアガイドと疾患別ガイドにつきましては、現在各研究班で作成していただいているということであります。
これはまさに骨子案で、この委員会の中で最終的に決めていく必要があるわけですけれども、きょうはまさに骨子案ということで、いろいろな御意見をいただきたいということです。
まず、少し分けまして、全般的に資料3-1を中心に御意見、御質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
小林委員、どうぞ。
○小林委員 ガイドは大変結構だと思います。よくまとめていただいてありがとうございます。
前回もお話があったのですが、ガイドはとかくマニュアルになりがちです。マニュアルというよりかは、これはこういう事例なども重ねた中で、皆さんが理解しやすいように、特に都道府県の皆さんにということなのです。
私は別に役所の皆さんに偏見があるわけではないのですが、とかく私たちの印象ですと、非常に経験的なことなのですけれども、一回こういうものが出ると役所の窓口は型に当てはめて、これでなければだめ、あれでなければだめというふうになりがちだというのがあるのです。
私が申し上げたいのは、前回の賀藤委員のお話にもありましたけれども「第2 移行期医療支援の基本的考え方と目指すべき方向性」の中で3つのケースが出てくる。一人一人の病気とか、成育の経過だとかいったことで、一人一人全部様相が違ってくるわけで、これをまず大前提にしていただいて、ぜひ、役所の窓口で子供さんたちや家族に対する対応を持っていただけるようなものにしていっていただきたいというのが、私の意見であります。
○千葉委員長 先ほど分けてと言いましたけれども、結局重要なポイントはシステムの問題だと思いますので、そこのところが資料3-2にあるわけで、必ずしも分ける必要はいなかと思いましたので、そういうことで御議論をいただきたいと思います。
大澤委員、どうぞ。
○大澤委員 大変すばらしくまとめていただいたと思うのですけれども、この移行期医療支援センター(仮称)をつくるというか、そこが担うことはものすごい大変なことになると思うのです。
患者さんの移行というふうに考えた場合に、都道府県の中だけで移行ということはなかなか問題が出てくる場合もあって、都道府県の中だけれども実はすごく遠い距離の場所に移行しなければいけないとか、そういうこともあると思うのです。県が違ってもそちらに移行したいという場合も出てくるかと思って、そのあたりのシームレスな対応というのも本当は必要になってくるのではないかと思います。
よろしくお願いします。
◯千葉委員長 非常に重要なポイントですね。私もそういうあたりを担っていただくべきであろうとは思います。
石川委員、どうぞ。
○石川委員 日本医師会の石川でございます。おくれて来まして済みません。
前回の会議のときに、参考資料1の最後の図表が出たと思うのです。「(7)図表」というものですけれども、これで私は真ん中の絵がいいとずっと思っているのです。
私はこの間も言いましたけれども、患者さんのニーズということが。
○千葉委員長 (7)というものは。
○石川委員 参考資料1の18ページの「(7)図表」というものです。
○千葉委員長 参考資料ですね。
○石川委員 今回の中には、このポンチ絵は出ていないので。
図で描いてあるわけなのですけれども、3つの類型の2番目のものが一番いいと考えております。
そう言いますのは、私も小児科医で循環器をやっていまして、患者さんのニーズ、要するに患者さんの立場というのを一番重んじて、次の医療が選ばれるべきだという立場でいます。
そうしますと、例えば小児慢性特定疾患で非常に専門性の高いものについては、成人になってもやはり専門性の高い先生にかからなければいけないものはいっぱいあるのです。特に代謝性のものだとか、内分泌系で本当に難しいのは、成人の方でもとても無理だということがあります。
そういう方の場合には、やはり引き続き、小児科にその部分でずっとかかっていくのが必要ですし、成人になってからの違う問題が出れば成人の先生に相談するという形で、はやっている言葉で言えば患者ファーストということで選べばいいと思っております。
もう一つは、すごく成功した例で1つだけあるのです。例えば市川市という市があるわけなのですけれども、市川市は障害者、障害児に対して医師会全体が取り組んで、小児科だけではなくてどの科の先生でも受け入れていこうという形ですごく運動しまして、今も現実、障害者、障害児がどの先生も診られる。診療に余り得意、不得意なく非常に頑張っているというところもあります。
したがいまして、これは医療従事者側も極めてこういったことについて、例えば小児慢性特定疾患を持っていた患者さんに対しての理解だとか、そういうものに対して勉強しているということなのです。
ですから、全てが患者さん側のいろいろな支援、教育だけではなくて、医療側もかなり努力して、そういう新しいものをつくっていかなければいけない。その一番の例がACHDだと思っていますけれども、やはり地域にという形でも、この自律(自立)ということもありますので、小慢の子供たちが行く先といいますか、そういうのは地域医療ということもあると思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
今、大澤先生が御質問されて、御意見を述べられましたけれども、資料3-1の2ページのポンチ絵の中で、移行期医療支援センター(仮称)の位置づけというのが非常に重要だと思うのです。ですから、ここについては御意見とか、こうするべきではないかといった御意見をいただければよろしいのではないかと思うのですけれども、質問とも兼ねまして私が一つ思いますことは、移行期医療支援センター(仮称)というのは先ほど参考人のお話にもありましたように、難病支援センターと非常に強く結びついていく必要があると思うのです。ですから、それについて、例えば場所をどうするのかとか、どのぐらいの規模にするのかとかいったところは、具体的に非常に問題になろうかと思うのですけれども、そこら辺について何か御意見はございますか。
今、厚労省のイメージとして、もう少し抱いているところがありしまたらお話ししていただけたらと思うのです。
○徳本課長補佐 本日提示させていただきました「移行期医療支援センター(仮称)」とありますけれども、こちらについて、どこに置くかに関しては、現時点では厚生労働省側で特段のこだわりはないと思います。
先ほどお話がありましたように、例えば難病相談支援センターというのがもう既に動いております。また、平成30年度から各都道府県において、都道府県の難病診療連携拠点病院といったものも位置づけはされるところでございます。
それと、いわゆるオーバーラップをして一緒に、一体としてやっていただくということも構わないと思いますし、いや、別のところでやったほうが効率的だということであればそれもあるかと思いますし、そこら辺に関しては、実は先ほど委員のお話がありましたように、今回は余り型にはめないほうがいいのではないかというのが我々の思っているところでございますので、我々は移行期医療支援体制構築のガイドとして、非常にあらあらでございますけれども、骨子として本日資料3-2を提示させていただきました。
これに関しては、どこに置くべきかについては余り議論しないほうが、各都道府県などの実情に応じた運用ができるのではないかと考えているところでございます。
しかしながら、今回の委員会におきまして、例えば名前を支援センターとした場合に、この支援センターにはどういったことをやってほしいという魂の部分については、しっかり御議論をいただいたほうがいいかと思います。
○千葉委員長 したがいまして、確かにこの2ページの中の、それぞれの括弧の中ですね。役割というのが非常に重要かと。
それから、今のお話で言いますと、どこに置くとかということではなくて、当然のことながら、場所というよりはタイトにかかわり合いを持つということが当然のことだとは思います。
小林委員、どうぞ。
○小林委員 今の委員長の御意見なのですけれども、前回も発言させていただいたのですが、小児慢性特定疾病の事業には自立支援員というのが、都道府県と政令市の実施主体に配置されておりますので、ここでは連携と書いてありますけれども、場合によっては、こういう自立支援員が移行期医療支援コーディネーターを兼務してもらってもいいだろうし、それはそれぞれの自治体の考え方でやってもらっていいと思います。
自立支援員というのをせっかく設けているわけですから、これをもっと有効的に活用していただくようなことを考えていただきたいと思います。
○千葉委員長 そういう御意見をいただきました。
森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
患者当事者としましては、いろいろな資料等々の中に自律(自立)という言葉がとてもたくさん出てくるわけなのですけれども、例えば漢字で「自律」とか「自立」とか、このところの自律、自立はどういう目的をあらわしているのかというところとかがわかりにくくて、自立といえば経済的にも自立するようなイメージがあったりとか、非常に当事者としてはプレッシャーを感じてしまったりするところもあるのです。なので、最後、小児科学会の提言をまとめていただいている中に、患者自身の主体的な診療への参加という言葉もあったかと思うのですけれども、これはやはり、しっかりと自分の状態を先生とお話もできて、わからないところを質問もできて、自分自身で自己決定とまでは行かないかもわからないですけれども、選択もできて、意見を言うことができるという、主体的に診療に参加できるというところを目指すとか、そのような解説みたいなものを補足でも書いていただけると、どういうところを目指せばいいのかということがもう少しわかりやすくなるのではないかというのが一点です。
もう一つは、このコアガイドなどもつくられるということなのですけれども、医療者側の意識といたしまして、医療だけで小児から成人に移行できるものではなくて、やはり成人のときの医療提供体制のときにも話が出たように、患者さんのその先を見た治療を行うという意味では、患者が生きるために必要な福祉ですとか、教育ですとか、就労といったところも、医療者側もそのような面も意識して行ってほしい。そして、そういうことも書き込んでいただきたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
これは私の認識としては、コアガイドと疾患別ガイド、特にコアガイドのほうにはそういったことをしっかり盛り込むといいますか、そういうことも含めた形でのガイドであるべきだと認識していますけれども、それでよろしいですね。
○徳本課長補佐 先ほど説明させていただきましたように、現在、この自律(自立)支援のガイド、コアガイド、疾患別ガイドにつきましては、関係学会などを通じて今、作成をいただいているところでございます。
しかしながら今、いただいた御意見というのは非常に貴重な御意見でございますので、その作成中のコアガイドに何らかの形で反映できるかどうかというのを、また研究者にお伝えしたいと思います。
○千葉委員長 よろしくお願いします。
春名委員、どうぞ。
○春名委員 高齢・障害・求職者雇用支援機構の春名と申します。
資料3-2の1ページの、第1の2の「(2)患者自律(自立)支援の課題」というところなのですけれども、その上の「(1)医療体制の課題」のほうは支援体制側の課題なのですけれども、こちらの自律(自立)支援の課題のほうは患者さんとか保護者側の課題になってしまっている。ここのところは「依存度が高い傾向にある」というふうに言うのではなくて、例えば「治療を続けながら社会生活を送っていく上での課題に対応が困難になっている」だとか、2つ目の「保護者は、成人期医療に総合診療科的な役割を求める傾向にある」というところも、「成人期の自律(自立)に必要な総合的支援ニーズに対応できるような支援が必要」だとか、何かそういう支援側の課題として書いたほうがいいのではないかと思いました。
2ページ目の「2 目指すべき方向性」のほうも同じなのですけれども「患者及び家族に対する相談支援体制を充実させる」というのもそのとおりだと思います。「患者、家族の理解を深めていく」というのもそのとおりだと思うのですけれども、先ほども福岡のこども病院の事例のほうでも、配付資料として『社会にはばたくときに』という資料を渡してガイドにされていまして、これはすごくいいと思うのです。この冊子を私も読ませていただいたのですけれども、そうしますと、例えば就労支援のところなどでいうと、このような問題がありますから準備しましょうと、患者さんをちょっと突き放した形になっているのです。
今、やはり難病対策全体として、こういう患者さんも治療を続けながら社会生活を送れるようにしていきましょうという方向性で検討を進めてきているわけですので、そういう進んだところの状況だとか、利用できる制度のことだとか、それのアクセスを高めていくとか、そういう治療を継続しながら社会生活を送っていくための支援とか、相談支援とか、進んだ難病対策へのアクセスを高めていくような情報を提供していくだとか、そういう具体的なことを示していくことが重要ではないかと思います。
以上です。
○千葉委員長 今のお話は支援者側の課題といいますか、そういった視点を入れるべきであるということと、患者さん側への配慮というか、そういった御意見だったと思います。
及川委員のほうから、まずお願いします。
○及川委員 3点ほどあります。
今の続きで、私も資料3-2の第1の2の(2)は、やはり患者さんの問題だけではなくて、自律(自立)に向けた支援が十分にされてこなかったという現実もあるわけですので、その辺も明記していただいたほうがいいかと思います。
2点目なのですが、2ページ目の診療体制です。これは個々の状況に応じて、小児科の中で引き続き診ていくということもやむを得ない状況があるかと思うのですけれども、そうしたときに、やはり小児科に診療を続けていく患者さんに対しての、大人としての対応といいましょうか、どうしても見過ごされがちな部分が出てくると思うのです。
ですので、コアガイドを見ますと子供から大人になるプロセスを支援するコアガイドになっているかという印象を受けるのですけれども、やはり診療科がどうしても小児科のままでいた場合の人たちに対して、大人としてどう対応していくのか、そういう人たちの社会的な支援をどういうふうにするのかということも、ぜひコアガイドに入れていただきたいと思います。
3点目は、このイメージ図のほうなのですけれども、移行期医療支援センター(仮称)というのを柔軟に対応していくということはとても賛成ですが、そうしたときに、この名称自体が移行期医療という名称だと、やはりその時期しか捉えていないような印象を受けて、それでいいのかどうかというのがあります。
もちろん、小児科から成人につないでいくというところを非常に重点的にやるということは、意味合いとしてはとてもわかるのですけれども、成人に行った後のところまで含めて支援していくのだという考え方も含めて名称を検討してもよいかと思います。
それから、この支援コーディネーターという名称なのですが、先ほど小林委員からも自立支援員を活用してということなのですが、いろいろな名称が出てくると、一体どこで誰が何をやっていてというふうに、患者さん側からしたら混乱して、窓口が幾つもあることが果たして適切なのかどうか一本化できるようもう少し検討していただくことができるかと思いました。
以上です。
○千葉委員長 幾つか重要な御意見をいただきました。
西澤委員、お願いします。
○西澤委員 移行期医療支援センター(仮称)をどこに置くのかということで、余り型にはめない、各自治体が対応しやすいというのもおっしゃるとおりなのですけれども、想定すると、やはり県立の子供病院のような小児医療の中核の施設を持っている県は、恐らく医療の引き継ぎとか対応ができるのではないかと思うのですけれども、そういう施設がない県がどうするかというところが心配になります。
確かに難病相談支援センターは全県にありますけれども、そこに配置されている小児の自立支援員という方が医療の引き継ぎまでかかわれるかというと、そこはちょっと難しいように私は思います。
ですから、できる県とできない県ができてしまうのではないかというのが、この案を見せていただいて一番心配なところで、県立の子供病院のような中核施設がない自治体に、どのようにこういう制度をつくっていってもらうかというところをもう少し書き込まないと、組織ができ上がらないのではないかという危惧があります。
以上です。
○千葉委員長 各都道府県によって事情が異なるので、そこの配慮が重要であるという御指摘だったと思います。
小幡委員のほうは。
○小幡委員 私も確かに、移行期医療支援という名前については、患者さんが、できるだけ気持ちよい医療をずっと受けられるようなシステムということだと思うので、若干狭いかという感じはするのですが、ただ、現状として、今、足りていないものを整備していこうというところなのでやむを得ない表現なのかとは思っております。
県のセンターということで、それはそれでとても大事だと思うのですが、当然のことですが、要するに、先ほど福岡のお話でございましたように、成人の医療のところで引き受けられる体制がきちんと整っていれば、安心して小児科の先生も送れるということがあるので、そういう情報が入っていたらセンターもしっかり連絡、調整、情報提供できるということになりますので、どちらかというと、先にともかくそういう体制が整っているということが必要だと思います。当然のことではありますが、そこを整備しつつ、県のほうでも加速するような形で支援の体制を整えておくということなのかと思います。
やはり患者さんが一番どういうことを思われるかという自己選択の問題だと思いますので、何が何でも必ず移行ということではないということは、まず2ページの一番上で3つの道があるということは明確にしつつ、さらにその患者さんにとっても、体制が整って、成人のところでよくわかっていらっしゃるような組織ができていれば安心して移りたいと思うわけですから、先ほども申し上げたように、ともかくその体制がある程度できていないと、なかなか連絡、情報というシステムも動かないかという感じはしております。ですから、それを頑張って、医療機関の方に整備していただくのが必要かと思っております。
○千葉委員長 本田委員、どうぞ。
○本田(彰)委員 関連することなのですけれども、やはり「移行期医療支援センター(仮称)」の下に出ている移行期医療支援コーディネーター。成人の場合でも難病の場合、難病医療専門員が現在、難病コーディネーターという形に変わって、期待される役割を果たすようになっていると思うのですけれども、ここの中で医療を適切に受けられるようにという形で仕事をしていく場合、現在の大人の場合の難病コーディネーターに課せられている役割とかなり近いところがあるのではないかというところがあるのと、移行期だけではなく、その後も続けてということを考えていく場合には、どのようなコーディネーターが果たす役割があるのかということを、ある程度形づくった上で今いる人たち、小児慢性特定疾病児童等自立支援員の方を存じ上げていなかったのですけれども、その人たちの果たせる役割と、医療的なところもきちんと役割を果たせるような人たちの育成も少し考えた上で、このコーディネーターの役割を規定していくと、このイメージ図の中のことがうまくいくのではないかと思った次第です。
もう一つ、移行期にある子供たちというか、成人になりつつある人たちというのは、多くは高校から大学受験だとか就職だとかということになって、特に教育のほうの問題もかなり出てくると思うのです。学習支援的なところもある程度加味したところで、教育関係の人たちとの連携も、もしかしたら必要になってくる。医療なのですけれども、生活だとか福祉的なところを考えていくと、そことのかかわりもここで持っていけるのか。そういう窓口だとか、筋道も少し考えているのかというところは少しお伺いしたいところです。
○千葉委員長 賀藤先生、どうぞ。
○賀藤委員 もう一度見ていただきたいのですが、きょう福岡市立こども病院が御提案いただいた内容なのですが、こんなにうまくいっていところでも10年以上かかっています。それをまず御理解いただきたいと思います。
まず、関連する大学の循環器内科の教授に話を持っていってから10年以上かかります。これでも早いくらいです。かつ、まあまあうまくいく分野でさえもそうだと。10年かかるというところで、今回のこの動きは、そこを何とか行政側も少し協力していただきたいということの動きとして、現場の人間としては温かい目で見ていただければと思います。
ですので、いろいろな思いがあるのですけれども、なかなか難しい。ただ、アメリカはもう10年以上前にこういうことを政府がやって、政府の関係者がやった後、内科の学会とか、家庭医の学会とか、小児科学会が共同ステートメントを出してまでも10年以上かかってやっています中、まだ問題として大きく残っています。小児病院の成人の入院患者数は減ってはいませんので、やはり日本全体としてこういう問題があって、移行期というものがあるのだと。そこをどうやって行くのだと。やはり行政としても、こうしていかなければいけないのだというところを今回きちんと示したというところは、何とか温かい目で見ていただければと思っています。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
非常に重要な御指摘だと思います。
村田委員、益子委員、お二人順番にどうぞ。
○村田委員 医療支援センターに関して、その先のことも考えますと、むしろ移行期医療支援センターというよりも、移行期医療支援センター業務というふうに考えていただいて、小児と大人の難病センターのそういうつながりの中に、移行期医療をする部門がある。そのために、別々に独立した人を1人ふやしましたというのではなくて、よりそこのコーディネーターの人数を多くして、その人たちの中にそういう業務ができる人を入れていったほうが、当然小児慢性疾患の子供のためのコーディネーターの方は教育のことも考えて対応されるでしょうし、大人になったら就労のことも考えて対応されるでしょう。しかし、移行期だけではなくて先のことも考えてくださいというセンターを新たにつくるのは余り効率的ではなくて、むしろ今、ある難病コーディネーターのような部門の人数をふやす。そして、こういう業務をつけるということを考えるほうがいいのではないかと思います。
それと、ちょっと乱暴な言い方かもしれないのですが今、お示しいただいた、大変うまくいっている九州のケースは、うちは子供病院ですから大人は診ませんというふうに逆に言いやすい部分があって、そういう形で行けば、もう先生方もお願いするしかないし、本人も御家族も、そうか、それはしようがないなという感じになると思うのです。
ですので、やはり移行期医療を進めるためには、全ての疾患が全部、小児科は無理ですと言うつもりはないのですが、幾つかに関してはやはり小児科では無理ですから、基本大人の内科なり、循環器内科とかが診るのですという風潮を国としてつくっていったり、あるいはシステムを示すような、それこそ移行期支援医療何とか加算みたいなのをつけたりとかいう形をつくっていかないと、やはりそちらには行かないと思います。
内科の医師のほうも、今まで診たことがない病気を診るのは、子供の病気が大人になったからといって診るのは難しいですし、患者さんや御家族は今までずっとお世話になった先生方にずっと診ていただきたいのは当然で、しかし、そこにはそごが出るということをみんながわかっているからこそ、こういうふうに始まっているわけですから、少なくともこれは成人の診療科が診るほうが適切であるという疾患、病態に関しては、小児科では診られませんというような雰囲気をつくるというシステムをつくるべきだと思います。
○千葉委員長 益子委員、どうぞ。
○益子委員 川崎市宮前区役所保健福祉センターの益子です。
先生方の御議論を聞いていますと、移行期医療支援コーディネーターというのはスーパーマンみたいな感じに思えてきてしまいました。
コアガイドに福祉や教育とかそういうところをうたうのは大変大切なことだと思うのですけれども、この人に全てを要求するのは難しいので、特に今、地域では地域包括ケアシステムをつくろうとしています。これは、全ての人を対象としていますので、コーディネーターの役割は移行期の問題にやはり特化すべきではないかと私は思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
恐らくまだまだ御意見があると思いますが、まだ次の委員会も控えておりますので、五十嵐先生、最後にどうぞ。
○五十嵐委員長 資料3-2に要望があるのですが、1ページ目に第1の2の(1)のどこかに加えていただきたい点が1つあります。
成人の診療科というのは、特に内科は今、臓器別になっていますね。そういう状況の中で成人期に移行した患者さんは、少なくとも現状では複数の成人診療科での対応が必要となることが少なくないという現状認識をここに入れていただきたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
そういうことで、御意見はたくさんあると思いますけれども、このぐらいにさせていただきたいと思います。
先ほど賀藤先生が言われましたように、これは五十嵐先生の御発案で、合同委員会として第2回目ということで、これ自体が始まったばかりなわけでして、まだまだこれからということだと思います。
やはり皆が移行期医療の重要性を認識するというところが重要でありまして、そういう意味では、こういう制度をつくっていこうという動きは大変結構だと私自身は思っております。
それから、内科と小児科の合同作業というのは非常に重要なのですけれども、我々はなかなかそこに割って入れなかった。五十嵐先生は小児科で、私は内科ですけれども、我々の立場から言うと、やはり主導していただくのが。多分困っておられる小児科の先生にしっかり言っていただいて、内科の我々を啓蒙していただくという、結局そういう流れになるのだろうと思いますし、そこも非常に重要かと認識した次第です。
そういうことで、本日はどうもありがとうございました。
これは引き続いて、まだまだ議論が終わらないようでしたら、またもう一度合同委員会を開いてということもあり得るかと思っております。いずれにしましても、事務局としましては、きょうの御意見をいろいろ御検討いただいて、ぜひいいものをつくっていただきたいと思います。
それでは、事務局のほうからお願いいたします。
○徳本課長補佐 皆さん、活発な御議論をどうもありがとうございました。
本日の資料3-1、3-2につきまして、まだ本日言い足りない御意見がある方もおられるかと思います。その方は1週間以内をめどに、事務局までメールもしくはお電話で御連絡いただければ反映させていただきたいと思います。
次回の委員会の日程につきましては、決定次第御案内申し上げます。
難病対策委員会の委員の先生方は16時40分めどで、この会場で続きまして第51回の委員会を開催する予定ですので、お残りいただきますようよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○千葉委員長 それでは、いろいろ意見をいただきましてありがとうございました。
本日はこれで終了させていただきたいと思います。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会)> 第21回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(2017年8月2日)